実行委員長より

WordCamp 男木島の実行委員長西川伸一です。今回のイベント会場となる男木島に家族で暮らし始めて、3年目になりました。少し長くなりますが、自己紹介兼、ご挨拶兼、みなさんへの招待状ということで、少々お付き合いください。

 

2008年ころ、僕は小さなデザインエージェンシーで、営業やプロジェクトマネジメントの仕事をしていたのですが、リーマンショックの影響もあってか、会社の規模が縮小されることになって、仕事がなくなりました。そのときに気がついたのは、デザイナーやプログラマーなど、当時一緒に仕事をしていたフリーランスの人たちは、景気が悪くなっても死なないし、仕事はあるところにはあり、自分の仕事を作ることもできるような人たちで、なにより自由で楽しそうにしていたということでした。彼らのようにやってみたいと思い、当時一人目の子どもがもうすぐ生まれるという状況ではありましたが、妻には「ごめん半年くらい収入なくなるね」と告げて、本屋へ行ってPhotoshopやIllustratorの使い方、HTML, CSSの書き方の本を買って、ファミレスで勉強を始めました。

 

WordPressを学び始めたのは、これまた書店で次の勉強ネタを探していたときでした。前職では話を聞いたことはあるくらいのもので、ウェブサイトを作れるシステムっぽい何かだということしか知らず、時間もあるし、WordPressを提案した他社に負けたこともあり、これはやってみようと思ったのでした。

 

それから、国内ECでは買えるけども海外からは買えないものを、写真をお借りして(すみませんでした)、翻訳して、カスタムフィールドやPaypalボタン(管理画面で一個ずつ作ってた)なんかを使いながらECもどきのようなものを作り、売れてから買って発送する、というサイトを作ったりしていました。ぜんぜん儲かりませんでした。その頃から、ウェブサイトの制作を任せてもらえるようになり、初めての仕事は母からの紹介、20万円で受注して、詳しい友人に「全部僕がやるけど分からなかったら教えてくれる費」10万円を渡して勉強しながら作る、というようなスタートを切りました。

 

その後、子どもが生まれたころ、WordCamp Yokohama 2010に参加して、WordPressを使えばパスワード制の家族専用子育てブログができるということを知り、それを早速作ってみて、それをサービス化しようということで、マルチサイトという機能を利用して、誰でもプライベートな子育てブログを作れるサービスを作ったりしました。その時、お世話になったのが、WordPressの地域勉強会「WordBench」でした。ネットで探しても本で読んでも分からないことを、勉強会であった人に聞くことができる。Twitterでも質問魔のようになっていましたが、みなさんすごく丁寧に教えてくれました。

 

その後、たくさんのWordPressの仕事をするようになりましたが、地域の勉強会に参加して、いろんな人のいろんなプロジェクトの話を聞くことで、つねに刺激を受け続けてきました。たくさんの出会いがあり、仕事、遊び、ハッカソンへの参加や書籍の執筆など、一人ではできなかった経験をさせてもらいました。

 

2013年、2人に増えた子どもたちも連れて、東京からバンコクに引っ越しをしました。バンコクにはWordPressのコミュニティーがなかったので、自分で勉強会を主催して、東京で経験したのと同じように、仕事仲間や友だちを探す場を作ることにしました。このとき始まったコミュニティーは、WordCamp Bangkokへとつながっていきました。

 

その後、男木島への引っ越しをして、今回の副実行委員長額賀順子さんとのWordBench男木島の運営や、今回のWordCamp男木島へと繋がっています。

 

今回のコンセプトは「一人ひとりの力」です。トップページに掲載されているコンセプトの文章は、実行委員チームでのディスカッションを経たものなのですが、そのベースには、WordPressを軸にしながらも、知識を共有する、友人を得る、仕事につなげる、プロジェクトを立ち上げる、刺激を受けるといったことがこの男木島、あるいは高松市、香川県、四国、瀬戸内のエリアでも可能だし、そういうことが起こりうる場所を作りたいという動機があります。

 

さて、話は少し変わって、今回の実行委員会チーム、とても強いです。WordCampに参加したことがない人や、運営に携わったことがない人も多く参加しているのですが、それぞれが多様な強みを持っています。ウェブ制作、編集、写真、イラスト、建築、イベント、カフェ経営、島ぐらし、田んぼ、お母さん、会社経営者、EC、英語、フランス語、音響、パン、元国立公園レンジャー、就活生、デザイン、PRといった強みを持つ人たちです。地域的には、男木島、豊島、香川、愛媛、高知といった四国に加え、瀬戸内エリアからは山口、岡山、広島、そして、東京、大阪、長野、長崎、滋賀、静岡、香港とこちらもさまざまなバックグラウンドがあります。ほぼすべての会議がテキスト、オンライン動画で行われていますが、一人ひとりの、色んな視点が盛り込まれた共同作業から、たのしいイベントが生まれそうです。

 

イベント、あるいはそれを支えるコミュニティーの運営については、2012年のWordCamp東京の実行委員長や、Bangkok WordPress Meetupの運営などをしてきたのですが、今振り返ると、強いチームがあって、その結果としておもしろいイベントができたり、コミュニティーが長続きするというのが、僕は好きなのかもしれません。贅沢を言えば、このチームから、男木島ではない他の場所でのWordCampにつながっていくといいなとも思っています。




さて、今回のWordCampでは、本物のキャンプもします。テントをはって眠るあのキャンプのことです(初めてWordCampを知る方へ: よそのWordCampではキャンプはないんです)。懇親会やその後の二次会は、WordCampの醍醐味のひとつです。普段はオンラインでしか会えない人たちと食事をしたり、遠く思えていた人とお酒を飲んで、ああ同じ人間なんだなと思ったりできます。イベントで得た知識と、話をしたその感じを持ち帰って、またがんばれます。今回は、離島ということもあり、どうしようかなと思ったのですが、どうせならみんなで泊まってしまえ、ということです。キャンプファイヤーもありますし、海辺からは行き交う船も見えます。タンカーだったり客船だったり漁船だったりするので、なんかすごいです。楽しくやりましょう。

 

最後になりましたが、コンテンツとしては、島内外、国内外のスピーカーがWordPressの基本的なことからユースケース、生活スタイルやマーケティングまでを話すセッションの他、ワークショップや参加者同士の交流を促すような工夫を予定しています。検討中ではありますがキッズスペースの話もあがっています(手伝ってくれる人を募集しています)ので、家族での参加もお待ちしています。バーベキュースタイルの懇親会とキャンプファイヤー、朝ごはんにも期待してください。

 

イベントは、7月15日で3連休の中日です。チケットの販売開始は5月中旬を予定しています。どうでしょう。すぐにチケットが売り切れてしまうような、やっぱりそううまくは行かないのかもしれないような。TwitterRSSFacebookInstagramをフォローして、見逃さないようにしてください。

 

それでは、当日の好天を祈りつつ(台風が来たら船が動きません)、自己紹介とご挨拶と、みなさんへのご招待でした。

WordCamp Ogijima 2018 is over. Check out the next edition!